パンのこと


「えぴ」ではイーストを使用せず、オーガニックのレーズンからおこした、自家製の天然酵母の力だけでパンを焼いています。

「酵母にこだわる理由はなんですか?」と、時々お客さまに聞かれます。
自分の手で、目で、そして口で確認したものからパンを作り上げるという「安心感」。それももちろんありますが、私はそれ以上に、自分の手で酵母を、そしてパンを「育て上げる」という楽しみのほうが、ずっとずーっと強いです。そしてなにより、酵母でパンを焼く時の、工房の中に立ちこめる香り!イーストで焼いたパン屋さんに入ると、ちょっと甘い、いかにも「パン屋さん!」という匂いがしますが、あれはイーストでパンを焼くパン屋さん独特のにおいだと、酵母でパンを焼くようになって知りました。「えぴ」にあるのはもっと素朴な香り。粉の焼けたにおい。クルミの香ばしい香り。ドライフルーツがちょっぴり焦げた甘苦い香り。素材そのものの香りがする、そのシンプルさが、何とも言えずに好きなのです。

また「えぴ」では、パンの生地に卵やバター、牛乳を使用していません。それらを入れると、パンはふわふわ柔らかくなりますが、粉そのものの味がしなくなってしまいます。ごはんはチャーハンや炊き込みよりも、噛みしめるとじんわり甘い白ご飯が一番おいしいと感じるように、「えぴ」のパンもごまかしのない、「粉の味が楽しめるパン」だと言われたい。

洋食のような華やかさはないけれど、ひかえめだけれど滋味深い和食のような。
そんなパンを目指しています。